完璧な赤―「欲望の色」をめぐる帝国と密偵と大航海の物語
2008年1月3日 読書
ISBN:4152087706 単行本 佐藤 桂 早川書房 2006/10 ¥2,100
お正月ということで、今年も出かけてはいたものの、空いた時間ではゆっくり本を読むことができました。
この『完璧な赤』は1年以上前に購入したのですが、なぜか読みかけのままになっていましたので今回改めて読んでみました。
序盤は少々退屈に感じたのですが、コチニールを狙う海賊や「植物か虫か」といったあたりは非常に楽しく読めました。
それにしても、赤い色のためにこれほどの大事件になるとは思っていませんでした。赤は「富と権力の象徴」とされていたからでしょうか。私の場合、赤といえば「5人組のリーダー」くらいしか思いつかないのですが…
尚、著者のサイトでは本の内容と一緒に“Amusements ”として、コチニールとスズから真紅を作り出す実験を再現した記録や、メキシコのコチニール農園や染色工房を訪ねた様子も紹介されています。英語なのが少々難点かもしれませんが、ウチワサボテンについたコチニール(綿毛のように見えるのがコチニールです。エンジムシとも呼ばれています)や、真紅に染められた毛糸などが写真でも紹介されています。興味のある方はそちらもご覧になってはいかかでしょうか。
A Purfect Red By Amy Butler Greenfield(著者のサイト)
http://www.amybutlergreenfield.com/index.html
お正月ということで、今年も出かけてはいたものの、空いた時間ではゆっくり本を読むことができました。
1519年、新大陸の地に降り立ったスペインの征服者たちは、市場を埋め尽くす鮮やかな赤に目を奪われた。光り輝く色彩はまさに生命の炎であり、魂を揺さぶる情熱の色。これこそヨーロッパの人々が、そして彼らの王が権威の象徴として求めた完璧な赤だった。
この色をヨーロッパに持ちこめば巨額の利益を生む―スペイン人たちは製法から原料・産地にいたるまでを国家機密とし、完全なる秘密主義を貫いた。そのため18世紀まで原料の正体すら明らかにならず、イギリス、オランダ、フランスなど各国は躍起になってスペインの輸送船団を襲撃させ、新大陸にスパイを放った。市民のなかには正体をめぐって全財産を賭けた大博打に出る者まで現われた。はたしてその正体は、植物の根?種?花?それとも動物の糞か、虫か?国家も民衆も翻弄し、ヨーロッパ全土を競争へと駆り立てたその染料の名はグラナ。現在ではコチニールとして知られ、身近な食品や自然派化粧品などに使われている。
大航海時代から現代まで脈々と受け継がれてきた新大陸の秘宝をめぐる息もつかせぬ歴史ロマン・ノンフィクション。
この『完璧な赤』は1年以上前に購入したのですが、なぜか読みかけのままになっていましたので今回改めて読んでみました。
序盤は少々退屈に感じたのですが、コチニールを狙う海賊や「植物か虫か」といったあたりは非常に楽しく読めました。
それにしても、赤い色のためにこれほどの大事件になるとは思っていませんでした。赤は「富と権力の象徴」とされていたからでしょうか。私の場合、赤といえば「5人組のリーダー」くらいしか思いつかないのですが…
尚、著者のサイトでは本の内容と一緒に“Amusements ”として、コチニールとスズから真紅を作り出す実験を再現した記録や、メキシコのコチニール農園や染色工房を訪ねた様子も紹介されています。英語なのが少々難点かもしれませんが、ウチワサボテンについたコチニール(綿毛のように見えるのがコチニールです。エンジムシとも呼ばれています)や、真紅に染められた毛糸などが写真でも紹介されています。興味のある方はそちらもご覧になってはいかかでしょうか。
A Purfect Red By Amy Butler Greenfield(著者のサイト)
http://www.amybutlergreenfield.com/index.html
ISBN:4003255011 文庫 高山 鉄男 岩波書店 2004/03 ¥420
書店で見かけ、タイトルが気になったので購入してみました。ふざけたタイトルかと思ったのですが、途中まで読んだ限りではいたって真面目な内容のようです。
以前にも、タイトルが気になって「にんじん」「怒りの葡萄」「蠅の王」などを読んでみたことがあります。ニンジン農家が主人公だったり巨大なハエが襲ってくる話かと勝手に想像していましたが、全く違う内容でした。
ちなみに今回は、ラードの製造でもしているのかと思っていました。
書店で見かけ、タイトルが気になったので購入してみました。ふざけたタイトルかと思ったのですが、途中まで読んだ限りではいたって真面目な内容のようです。
以前にも、タイトルが気になって「にんじん」「怒りの葡萄」「蠅の王」などを読んでみたことがあります。ニンジン農家が主人公だったり巨大なハエが襲ってくる話かと勝手に想像していましたが、全く違う内容でした。
ちなみに今回は、ラードの製造でもしているのかと思っていました。
ISBN:4488403093 文庫 鮎川 哲也 東京創元社 2003/05 ¥819
妙な夢を見ました。全裸の男に追い回される夢です。
目が覚めてから、一体なんだったんだと考えていたところ、何故か鮎川哲也の短編小説『走れ俊平』を思い出しました。
随分前に読んだため記憶が曖昧ですが、「街中を裸で走れば借金を肩代わりしてやる」と言われて新宿駅前を素っ裸で走った男が登場する話です。しかし、その少し前に金を貸していた人物は何者かに殺されてしまいます。
実は裸で走っていたのには別な理由が・・・
肥満漢の弁護士が持ち込む仕事は「わたし」の生命線だから、蹴るわけにはいかない。
土つかずの戦績を見て私立探偵としての腕を買ってくれているのはわかるが、難事件揃いなのには全く閉口する。
捏造テープと換気扇の問題「中国屏風」や麻雀狂に捧げるエレジー「走れ俊平」、無名作家のとんだ有名税「サムソンの犯罪」等々、二進も三進も行かなくなると「わたし」はバー“三番館”へ足を運ぶ。
ここでグラスを磨いているバーテンに知恵を借りて解決しなかった例はないのだから―。
本格ミステリの泰斗が物した安楽椅子探偵譚、三番館シリーズ第二集。
収録作品
「中国屏風」
「割れた電球」
「菊香る」
「屍衣を着たドンホァン」
「走れ俊平」
「分身」
「サムソンの犯罪
妙な夢を見ました。全裸の男に追い回される夢です。
目が覚めてから、一体なんだったんだと考えていたところ、何故か鮎川哲也の短編小説『走れ俊平』を思い出しました。
随分前に読んだため記憶が曖昧ですが、「街中を裸で走れば借金を肩代わりしてやる」と言われて新宿駅前を素っ裸で走った男が登場する話です。しかし、その少し前に金を貸していた人物は何者かに殺されてしまいます。
実は裸で走っていたのには別な理由が・・・