北京五輪後にルール変更が検討されたものの、結局は変更しないことが決定されたはずでした。しかしその後、この決定に不満が出たために今度は「変更する」ことになってしまいました。

■変更される箇所
 変更されることになったのは、次の部分です。

1.ビデオチェックのシステムを変更
 従来のルールでは、微妙な判定になると試合を一旦中断して審判団がその場でビデオの映像を確認し、判定を下していました。この時、ビデオチェックを行うかどうかは審判団が決めていました。

 一方、新しいルールでは選手側が判定に異議を唱えた時にのみビデオチェックを行うことになっています。ビデオチェックの結果、判定が覆れば同じ試合の間にもう一度ビデオチェックを要求する権利が与えられます。当初の判定通りの結果になった場合には、同じ選手がその試合で二度目のビデオチェックを要求することはできなくなります。

 尚、この制度(選手側が審判に対してビデオチェックを要求すること)を「チャレンジ」と呼びます。

2.グレコローマンスタイルの試合方式を変更
 従来は「スタンド戦1分、グラウンドの攻防30秒×2(30秒経ったら攻守交替する)」であったものが、「スタンド戦1分30秒、グラウンド戦30秒(どちらか一方だけが攻撃する)」に変更されます。また、攻撃権の決め方にも変更があったようです。

 もう少し詳しい内容については、日本レスリング協会の記事をご覧下さい。
 ↓
 14日からブルガリアで新ルール初の大会…全日本チームが参加(日本レスリング協会 2009年2月14日)
 http://www.japan-wrestling.jp/New09/941.html

■色々と問題あり?
 2月14~15日にブルガリア・バルナで開催された男子グレコローマンスタイルの「ニコラ・ペトロフ国際大会」、男子フリースタイルと女子の「ダン・コロフ国際大会」で、この新しいルールが導入されたのですが、幾つか問題も明らかになったようです。

 問題が山積みのビデオチェック要求「チャレンジ」。国内大会での導入は?(日本レスリング協会 2009年2月18日)
 http://www.japan-wrestling.jp/New09/926.html

 どうなる? フリースタイルのクリンチ攻撃権の決め方(日本レスリング協会 2009年2月19日)
 http://www.japan-wrestling.jp/New09/925.html

 どうやら「チャレンジ」について細かい規定がなかったこと、フリースタイルのクリンチで攻撃権を決める方法にも変更があったのに通知されていなかったことから、混乱もあったようです。今のところは試験的に導入されているルールなので多少の不備があることは仕方ないのかもしれませんが、せめて事前にきちんと通知しておくくらいのことはしておくべきでしょう。

 新しいルールは5月30日まで各大会で実施された後に、問題箇所があれば修正してから正式決定になる予定です。私としてはルールの変更はあまりしてほしくないのですが(油断していると現行のルールがわからなくなるので)、変更されることになってしまったのだから仕方がありません。これからどのようになっていくのか見守るだけです。 


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