年が明けてから最初の記事なのに随分と後ろ向きなタイトルです。その上、取り上げるのは世間的は余り重大とも言えないような話題かもしれませんが、気にしないで下さい。

■神舟7号「捏造」騒動
 昨年9月に中国が有人宇宙船の神舟(しんしゅう)7号を打ち上げたのですが、船外活動の様子を伝える映像が捏造だったのではないかと主張した人がいました。

 山本弘のSF秘密基地BLOG:今度は「神舟7号の宇宙遊泳もなかったろう論」
 http://hirorin.otaden.jp/e9213.html

 問題とされていた映像はこちら
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm4767838
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm4772281

 これに対しては科学ジャーナリストの松浦晋也さんが自身のブログで反論しています。非常に丁寧なまとめです。

 松浦晋也のL/D: 神舟7号船外活動関連
 http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/7/index.html

 もしも捏造であったとしたなら、この映像を作るためには非常に高度な技術が必要になります。それだけの技術を持っているなら、素人でも分かるような雑な仕事はしないだろうという意見もあります。
 ↓
 神舟7号とは (シンシュウナナゴウとは) - ニコニコ大百科 -
 http://dic.nicovideo.jp/a/%E7%A5%9E%E8%88%9F7%E5%8F%B7

 どうやら、映像が捏造と考えることには無理があったようです。

■メタミドホス自然発生説
 中国製ギョーザに殺虫剤のメタミドホスが混入していた事件で、「メタミドホスは自然発生した」と主張する人がいました。

 中国産冷凍餃子事件の謎は量子水理論から読み解ける!!―高濃度メタミドフォスは外部混入ではなく内部発生した―
 http://www1.odn.ne.jp/shishakamo/bin’8/bin08-04-02.htm

 ちなみに「量子水理論」というのは高尾征治が勝手に言い張っているだけで、正しい理論として認められているわけではないようです。むしろこんなことを説明できてしまうなら、それは理論がおかしいのではないかと思います。

 更には懲りずにこんなことを言い続けています。 

 化学反応による内部発生説を裏付けるメタミドフォス濃度の経日変化
 http://www1.odn.ne.jp/shishakamo/bin’8/bin08-07-09.htm

 中国産冷凍餃子の検出メタミドフォス濃度は保存期間が長くなると増大する!!
 http://www1.odn.ne.jp/shishakamo/bin’8/bin08-08-20.htm

 ジクロルボスもメタミドフォスと同様氷点下の化学反応で内部発生した可能性が高い!!
 http://www1.odn.ne.jp/shishakamo/bin’8/bin08-11-05.htm

 「メタミドフォス濃度の経日変化」なんて言いますが、たった3つのデータから一体何が言えるのでしょう。後から検出されたものが、たまたま高濃度になっていただけではないのでしょうか。ふざけた話です。

■絹川選手を診察した怪しい医師
 陸上の絹川愛選手が、謎の感染症に罹ったとのニュースがありました。
 
 恐怖!中国で感染か!絹川が謎のウイルスで北京断念へ:スポーツ:スポーツ報知
 http://hochi.yomiuri.co.jp/sports/news/20080606-OHT1T00047.htm

 「感染症なのにどうして整形外科医が出てくるの?」と思ったら、どうも怪しい人物だったようです。

 幻影随想: 読売新聞のトンデモ記事が見事に爆釣な件
 http://blackshadow.seesaa.net/article/99666042.html

 「独自の検査と独自の基準によって診断すると謎のウイルスによる感染症です」ということだったようです。要するに当てにしちゃいけませんと。その後、絹川選手は走れるまでに回復したそうですが、この医師はどうなったのでしょうか。

■永久機関もどきな水発電装置
 大阪市に本社のある株式会社ジェネパックスが、水から電力を取り出す装置を開発したという発表がありました。

 水から電流を取り出すことを可能にした新しい発電システム「ウォーターエネルギーシステム」を見に行ってきました - GIGAZINE
 http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080612_wes/

 水から電流を取り出す「ウォーターエネルギーシステム」デモムービーいろいろ - GIGAZINE
 http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080612_wes_movie/

 真偽判断に役立つ「ウォーターエネルギーシステム」に対する各報道陣からの質疑応答いろいろ、そして現時点での結論 - GIGAZINE
 http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20080612_wes_q_and_a/

 エネルギー保存の法則に反するので、普通なら「こんなのありえないよ」と言われてお終いだと思ったのですが、好意的に紹介する番組もありました。まったく困ったものです。

 ところでテレビを映したり電気自動車を走らせるデモンストレーションが行われていましたが、実際に発電ができたからといって、説明通りの仕組みで動作していることが証明されたわけではありません。本当は発電していないのに、何らかの仕掛け(例えば前もって充電したバッテリーを仕込んでおく)によって発電しているように見せかけた可能性もありますが、それは証拠がないので何とも言えません。開発者が詳細を発表し、本当に説明どおりに発電していることを証明してくれるなら、こんな余計なことを考える必要もなくなるのですけど。

 ちなみに水を水素と酸素に分解するとされる「触媒」については、こんな説明がされています。
 ↓
 ジェネパックスが水素生成のメカニズムを明らかに - ニュース - nikkei BPnet
 http://www.nikkeibp.co.jp/news/biz08q2/575019/?bzb_pt=0
 金属または金属化合物には常温で水と酸化反応する金属を使っているとする。水と反応する金属はLiとNa、Mg、K、Caなどがある。今回発表したシステムの特徴はこの金属または金属化合物の反応性を制御して長時間に使うことを可能にした点にあるという。

 それは「触媒」とは呼びません。
 水素生成反応による生成物は水に溶解し、システム中の水とともに排出される。反応が終了すれば、水素の発生も発電もストップする。

 要するに金属を消費して発電する装置のようです。水だけで発電しているのではありません。

■終わりに
 気が付けば怪しげな話ばかりになってしまいました。何でだろう。

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