先日『水からの伝言』について書いた時に、少しだけ触れたEM菌についてのコメントを頂いきました。せっかく話題に出たのだから軽くまとめてみようと思ったのですが、結果はタイトルの通りです。どうやら私の能力では、EM菌を理解することはできないようです。

どうして微生物の話をしているはずなのに、

波動
重力波
シントロピー
なんて言葉が出てくるのでしょうか。
私にはさっぱりわかりません。

中途半端ではありますが、調べた内容について一応書いておきます。

EM研究機構によると、EMとは次のように説明されています。

EMとは?|EM研究機構|EM Research Organization
http://www.emro.co.jp/em/index.html
乳酸菌、酵母、光合成細菌を主体とする有用な微生物の共生体(製品名「EM・1R」)で、農業、畜産、水産、環境浄化、土木建築など様々な分野に利用可能な多目的微生物資材です。

種類の異なる微生物を混合して利用する、というのは何となくありそうな話です。一方で微生物の種類によって適する環境が異なると思うのですが、その辺はどうなっているのでしょう。

続いて開発の経緯としては、次のように説明されています。
当時、琉球大学農学部の比嘉照夫教授(現職:名桜大学教授)が、1977年、微生物の農業利用について研究に着手し、安全性と現場再現性を徹底して追求した結果、1982年、画期的な微生物複合培養技術の基礎が確立されました。
 以後、EM技術は、化学薬品に頼らない農業を目指す個人や団体から徐々に注目されるようになり、今では国内2社 (株式会社EM研究所 / 有限会社サン興産業)、海外55ヶ国で製造されるようになっています。


EMの利用法になると、素人ながらちょっと首を傾げたくなる内容になってきます。あまりに適用範囲が広いのですが、本当にそんなにも都合の良いものがあるのでしょうか。

EM活用技術 |EMとは?|EM研究機構|EM Research Organization
http://www.emro.co.jp/em/science/index.html
EMは開発当初の土壌改良材というジャンルを超え、現在では農業、畜産、水産、水処理、リサイクル、土木建築、医療、等々様々な分野で活用が進んでいます。


(追記)こちらの方がわかりやすかったかもしれません。
 ↓
EM情報室 WEBマガジン エコピュア EMとは?
http://www.ecopure.info/em/index.html
EMとはEffective Microorganismsの略語で、有用な微生物群という意味です。

EMは自然界から採種し、抽出、培養した微生物で、琉球大学農学部の比嘉照夫教授が開発しました。

EMの中には数十種類の働きの異なる微生物が入っています。主な微生物として、食品に使われる同じ仲間の乳酸菌、酵母をはじめ光合成細菌、放線菌、糸状菌などがあります。このEMを土に入れることにより、土の持つ力を十分に発揮させ、植物が健康に育つ環境を作り出します。

当初は土壌改良資材として開発されたEMですが、現在では農畜水産だけでなく水質浄化をはじめとする環境浄化や、医療、建築、教育など様々な分野に広がっています。
(追記終わり)

さて、どうしても理解できないのは比嘉照夫氏による次の主張です。

EM情報室 WEBマガジン エコピュア 連載 新・夢に生きる ⑤ 比嘉照夫名桜大学教授
http://www.ecopure.info/rensai/teruohiga/yumeniikiru05.html
昨年の12月、江本勝さんが設立した(株)IHMの20周年記念セミナーに船井幸雄さんと私がゲストスピーカーとして招待され、波動についていろいろとお話しする機会がありました。私はEMの本質的な効果は、関英雄先生が確認した重力波と想定される縦波の波動によるものと考えています。

「重力波と想定される縦波の波動」とは何でしょう?それがEMの本質的な効果だと言うのですが、さっぱりわかりません。
続きます。
これまで明らかとなっている波動は電磁波としてとらえられる横波であり、物質がエネルギー化し消失する一連の流れに沿ったものであり、エントロピーの法則に従うものです。重力波は、そのエネルギーの流れとはまったく逆の関係を維持する波動と言えるもので、汚染や低レベルのエネルギーを使えるレベルに集約し、そのエネルギーで物質化を促進する力があると言われています。私はこのような現象をシントロピーと称しています。

比嘉氏の造語である「シントロピー」が登場です。
また続きます。
すなわち、シントロピーとは「蘇生の法則」とも言えるもので、これまでマジカルとかオカルトと言われる未知の分野を支配する法則に類似し、物質に対する反物質的な存在と言えます。したがって、一口に波動と言ってもその形態はまったく異なっており、常識的な波動の概念では説明が困難であり、理解することは不可能と言えます。波動による蘇生的な現象は従来の常識とは異なる別の波動の概念を考える必要があり、私は重力波の存在がその根底にあるものと考えています。

もはや私の理解できる範囲を完全に超えてしまいました。「シントロピー」、「波動」(物理学の教科書に出てくる意味での「波動」ではない)、「重力波」と並べられて、何が何だかわかりません。

後半にもいろいろ書いてあるのですが、読むのが嫌になりました。とりあえず、『水からの伝言』の江本勝と「EM」の比嘉照夫、経営コンサルタント(?)の船井幸雄が仲良しだということくらいは覚えておきます。

ここまででギブアップです。余力ができたら追加するかもしれません。

[追記]
EM研究機構のページから、関連団体として財団法人自然農法国際研究開発センターへのリンクがあったので、そちらを見てみました。

国内普及について~財団法人自然農法国際研究開発センター
http://www.infrc.or.jp/act/domestic.html
自然農法の技術は、EM(有用微生物群)を活用した育土(土づくり)技術による農作物の栽培指導が中心です。さらに、EMを利用した畜産廃棄物の悪臭対策やその有効堆肥化などの技術指導も行っています。
EMに関する技術指導をしているようです。ところで、人為的に微生物を投入して環境を変えようとすることを「自然農法」と呼んでも良いのでしょうか。

さて、私の力だとこれ以上自力でまとめるのは難しいようなので、参考になりそうなリンクを貼っておきます。

EM菌 まとめ(仮) - 妄想科學日報
http://d.hatena.ne.jp/DocSeri/20080623/1214205987
既にまとめを作っている人がいました。タイトルに「(仮)」と付いていますが、「EMって何? 何か不味いことがあるの?」という人に対して必要な情報は揃っています。

農法あれこれウォッチング (エムティーファーム やまさんのお庭)
http://www7a.biglobe.ne.jp/~atotsugi/nouhou/nouhou.htm
「○○農法」と呼ばれるものについて検証しています。EMについても検証しています。

ああEM 永久の楽園 (もっと休むに似ている)
http://gallerytondemo.blog.shinobi.jp/Entry/71/
比嘉照夫氏の著作にあった内容を紹介しています。

エフェクティブ・マイクロオーガニズムス教団、略して・・・ (もっと休むに似ている)
http://gallerytondemo.blog.shinobi.jp/Entry/74/
「ああEM 永久の楽園」の続きです。比嘉氏の主張がどんどん変な方向に進んでいく様子が窺えます。

EM菌投入は河川の汚濁源(kikulog)
http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1205503037
EM菌を投入して河川を浄化しようとする取り組みに対し、効果が不明なだけでなく反対に河川を汚染することにもなり得ると指摘しています。

ここで紹介したサイトの中でも語られていますが、EMは万能ではないことは覚えておくべきでしょう。「EMさえあれば水質汚濁が解決する」なんて都合の良い話はありませんし、そもそも何にでも使えるわけではありません。そのはずなのですが、EMは万能であるかのように語られることがあります。困ったものです。

(おまけ)
万能ねぎの万能性を確かめてみる - されど空の青さを知る
http://blog.mynet.co.jp/tsuji/2007/12/negi.html
万能ねぎの「万能」ぶりだって限度があるのです。

コメント

マサムネ
2008年9月22日11:04

EMについてはさておき、焼結セラミック素材には微生物が住み

着いて魚にとって有毒物質を無害化してくれるようです。

金魚マットにも住み着くのですが、黒く薄汚れた状態になったら

「水道水で洗ってはいけない」というのは魚愛好家のあいだの

定説です。微生物は塩素に弱いのです。

なのにもかかわらず、規定量の塩素を加えてるってのは?

どんな強いEM菌?

ってことになりますよね。

おんりーゆー(南足柄にでた温泉)の井戸水のほうが身体に

よさそうです。(あ、言っちゃった!)

リノール
2008年9月23日11:41

EM、セラミックス、塩素と聞いてEM研究機構のQ&Aに、こんな内容があったのを思い出しました。

Q&A|EM研究機構|EM Research Organization
http://www.emro.co.jp/faq/052.html

「EMXセラミックスの塩素抑制効果について教えてください。

という質問の答えが

「吸着能力の高いEMセラミックス(アムロン製Sタイプ)を用いた試験において、6時間後におよそ1/4に塩素が減少しました。多孔質セラミックスによる吸着除去と考えられます。」

EMは関係ないらしい。あっても困っちゃいそうですけど。

マサムネ
2008年9月23日22:12

塩素が減っちゃったらまずいよなあ。保健所の指導の下で

「きちんと」管理してるんだもんなあ。

どこかで集中的に塩素の入ってる水を補充してプール内の塩素濃

度を保ってるんだよな!きっと!!