「事故米を正規米と混ぜて流通させたせいで、肝臓がんになる人が増えている」と主張している人がいるようです。

痛いニュース(ノ∀`):「企業努力とテクニックで」 有害米、なんと正規米にも混ぜて出荷…三笠フーズ
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1173208.html

63 名前:名無しさん@九周年[] 投稿日:2008/09/08(月) 12:21:42 ID:iictaJAz0
肝臓がん患者は事故米が流通し始めた10年前から
西日本を中心に爆発的に増加中です。

国立がんセンターがん対策情報センターの資料から、肝臓がんによる死亡者が西日本で多い傾向にあること、1995年から急激に死亡者の増加が見られることを根拠としているようです。尚、グラフについては国立がんセンター対策情報センターのページ( ttp://ganjoho.ncc.go.jp/pro/statistics/gdball.html?7%2%1)から確認できます。また、グラフの元になったデータは、人口動態統計によるがん死亡データ(1958年~2006年)としてこちら( ttp://ganjoho.ncc.go.jp/professional/statistics/statistics.html)からダウンロードできます。

確かに1995年から肝臓がんによる死亡者が急激に増加しているのですが、その理由を「10年前に事故米が流通し始めた」ことによるものとするのは無理がありそうです。「大勢の人が事故米を食べて一斉に肝臓がんになり、すぐさま亡くなった」ということになってしまいます。これはあまりにも不自然です。では、どういった理由によるものなのでしょうか。これについては、NATROMさんのブログで解説されています。

有害米と肝臓癌死亡数の増加は無関係 - NATROMの日記
http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20080909

こちらでまとめさせて頂くと、次のような理由によるものとして説明されています。
・肝臓がんの主要な原因は、肝炎ウイルスの持続感染である
・西日本は肝炎ウイルスに感染している人が東日本と比べて多い
 ↓
 西日本には肝臓がんになりやすい人が多い。それ故、死亡者も多くなる

・1995年から、死因統計分類の方法が変わった
・以前は別の死因とされてきた事例も、肝臓がんによる死亡として分類されるようになった
 ↓
 新たに「肝臓がん」として分類されることになった分が上乗せされた。そのため死者が急激に増えたように見える

「肝臓がん患者は事故米が流通し始めた10年前から西日本を中心に爆発的に増加中です。」という主張には、どうやら根拠がなさそうです。


ところで私には、
自然界における 「最強の発がん性物質」 アフラトキシンB1
(0.0015ppm = 10億グラム中に1.5グラムの濃度で、 100%発癌 )
この部分がよくわかりません。
アフラトキシンの危険性を訴えたかったのだとしても、どうして単位が濃度を表す[ppm]なのでしょうか。急性毒性の強さを示す半数致死用量(LD50)だと単位は[mg/kg体重]です。人が一生涯にわたり毎日摂取しても健康上悪影響がないと推定される化学物質の最大摂取量を表す、一日許容摂取量(ADI)だと単位は[mg/kg体重/日]になります。つまり「体重1kg対して摂取する物質が何mgか、または1日あたり何mgか」というように、量が問題になるはずなのです。濃度の問題ではありません。このデータを見つけてきた人は、何か勘違いをしてしまっているようです。

 

もちろん、例え肝臓がんと関係がなかったとしても事故米を食用に利用したことは当然批判されるべきです。また、事故米が原因で何らかの健康被害が発生していた(または将来発生する)可能性もゼロではありません。ただし、根拠のない理由で批判をするべきではありません。要するに、批判するならちゃんとしましょうという話です。

コメント

マサムネ
2008年9月11日9:14

ごはんの上のやつは紫蘇ですか?

リノール
2008年9月11日10:06

プロフィールの写真に写っている葉っぱは、ペパーミントかスペアミントか忘れましたが、ともかくミント(ハッカ)です。